Smiley face

 他の世代より賃金の上昇幅が小さく、貯蓄額が少ない傾向がある就職氷河期世代。現在40~50代が中心の世代で、その中に自らを「弱者男性」と呼ぶ人びとがいる。その思いはどんな経緯で生まれ、どこに向かうのか。

 長野県出身の男性(43)は東京都内で一人暮らししながら、こうした男性の支援を目的に掲げる団体で活動している。健康面の不安や孤独、困窮などの事情を抱え、自らを「弱者」と認識する男性たちが支え合う。

 男性は中学卒業後、29歳まで寮付きの建築会社で働いたが、うつ病を発症。生活保護の受給に至った。建築現場での経験を生かして再就職したが長続きしなかったという。

 支援団体との出会いは2年前。「死にたい」とメッセージを送ると、すぐに返事があった。「家族とは疎遠だし、恋人も友だちもいない。でも、メンバーとチャットで話せば、孤独は薄まる」

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ある1滴が 私たちも「弱者」

「弱者男性」の存在「知ってほしい」

 メンバーは20人ほど。似た境遇の人の相談を受けるなどの活動をする。

 支援団体は「弱者は女性だけではない」と訴える活動もしている。ただ、活動の趣旨を誤解されているのか、「女性支援の削減を訴えるべきだ」など、自分たちの立場と異なる意見が届く。

 男性は「弱者男性の存在も知ってほしいという思いでやっているだけ。女性支援を減らせと言うつもりはない」と戸惑う。理解が広がっている実感はなく、もどかしいという。

SNSの女性批判「スパッと言っちゃうところが痛快」

 一方、メンバーにはSNSで飛び交う女性批判に引かれていく人もいる。

 都内で一人暮らしの無職男性…

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